私は大変に恵まれていると思う。
何に、といえば『縁』に恵まれている。人との御縁、音楽との御縁…。
家族、師、友人達から始まり、音楽の「聴き手」「弾き手(共演者)」「場の造り手 」…。チェロを背負っての旅の御蔭で(時には飛行機の中や汽車の中まで)、今まで日本、欧州、米国で随分と色々な年代の様々な職種の方々と出逢ってきた。つくづく世の中は目に見えない『縁』で成立していると実感する今日この頃。時には偶然の形を取りながら、
時間を経て必然に変わっていく 『縁』は絶対的に私の手が届かない所で
編まれ、こちらに送りこまれてくる様だ。
今日は私が10年間住んでいたオーストリアに因んだ物を中心に選曲した。留学して最初のレッスンに持っていったベートーヴェン、いつも昨日生まれた曲の様に新鮮に感じる。「歌曲を弾ける様なチェリストになりなさい」と卒業記念に先生に贈られたブラームスは10年近く手をつけなかった。クジェネークのストイックな12音が一人芝居の緊張感と自由さを私に教えてくれ、ショスタコーヴィチのソナタでは私の見知らぬソ連時代、町に充満していた民衆の声にならぬ叫びが聞こえてくる思いをした…
素晴らしい作品に巡り会った時、音符は体を通して、我々に未知の世界を体験させる。最上の喜びがそこにある。
今晩、こうして皆様との『出逢い』が有るのも、私の人生で戴いた最大の縁『チェロとの縁』の御蔭です。
感謝と共に
水谷川優子 |